航空機の開発から運用開始に至るまでに発生する重大事故は、運用開始以降に比べれば、高い確率で発生する。また、運用開始以降について、オスプレイに係る発生率は、その配備への消極論に影響されてデータが扱われているためであろうか、他の航空機と比べて高い数値が報道される傾向にあるのではないだろうか。

 回転翼機と固定翼機との折衷型機において、技術的な克服が最も困難な点は、揚力の発生と保持、そして運動性能である。回転翼機は、翼の役割を果たすブレードそのものの仰俯角コントロールと回転速度とで、揚力と前進速度を発生させる。固定翼機は、主翼の面積や水平尾翼の角度を制御し、推進機の推力から揚力と前進速度を発生させる。オスプレイは、その両面の特性を共存させている。

 垂直離陸から水平飛行への移行時、回転翼の取り付け軸が垂直方向から水平方向へ角度を変化させるが、この角度と水平速度とのバランスが狂えば、揚力を失う。また、変化の最中に突風を食らうと、制御が難しくなる。これは、「ヘリコプターによる宙返りは失敗し易い」という回転翼機の操縦性と共通する。

 離陸から飛行への揚力と速度との相関制御は、自動と手動の選択が可能である。設計および製造過程における耐空性に関する要求、および機材の運用性能に関する審査を満足して配備されている以上、特に自動制御については、技術的問題点を解決している筈である。

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