シリアの内戦が緊迫し、アレッポへの包囲攻撃が国際的な関心を集めているが、今回は、あまり注目されることがないイエメンについて触れておきたい。イエメンでは現在重要で困難な政治プロセスが進む。独裁者とその親族・同族の取り巻きが支配する体制をどのように新体制に移行し民主化していくかという、シリアと共通の課題への取り組みをイエメンも行っている。また、過激派組織の掃討と、国家を私物化した同族支配の払拭を両立させる困難な試みという意味で、シリアが将来に直面する課題と(同じではないが)似通っている。

 BBCの国際ニュース放送も、番組ではアレッポ包囲戦に多くの時間を割いているが、ホームページを見てみると、専門家以外には見過ごされがちな情報をきちんと押さえている。「イエメンのハーディー大統領が軍の再構成に着手(Yemen's President Hadi restructures military)」という記事だ。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-19166152

 記事の冒頭を訳してみよう(〔 〕内は池内の補足)。

「イエメンのアブドラッボ・マンスール・ハーディー大統領は軍の再構成を命じた。前任者〔大規模デモの圧力を受けて退任したサーレハ前大統領〕の権力を削ぐ目的のためと見られる。ハーディー大統領は共和国防衛隊の複数の部隊を、新設の大統領保護局に移す。アリー・アブドッラー・サーレハ前大統領の息子のアハマドが指揮する共和国防衛隊の他の部隊は、異なる軍管区の指揮下に置かれる」

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