尖閣への中国人活動家の上陸に対して、政府は、入管法違反でその身柄を拘束し、強制送還した。2004年の小泉内閣当時の対応と同じだ。今回の対応について、自民党は、巡視船にレンガを投げるなど犯罪の容疑もあるとして批判しているが、2004年の事例でも、中国人活動家は、旧神社施設を破壊し、器物損壊容疑で逮捕されていた。今回の対応は、逮捕によって主権を示し、早期送還によって問題の長期化を避けるという、明確なメッセージを持ったものであった。

 2004年の事例と違うのは、直後に日本の地方議員も上陸したことだが、日本の警察は、彼らを軽犯罪法違反容疑で逮捕し、日本国内で起きた違反に対して、違反者の国籍を問わず平等に取り扱った。日本政府は、中国政府の抗議を日本国内の問題であるとして撥ねつけ、中国政府も、中国国内におけるマスコミ報道の過熱をコントロールし始めている。

 危機管理において重要なことは、譲れない一線を守りつつも、危機を早期に収束する意図を相手に伝えることである。そのためには、相手の挑発に乗らず、リアクティブな対応に止めることだ。その意味で、今回の政府の対応には、及第点を与えてよい。

 それでも「弱腰」と言われる所以は、一昨年の中国漁船衝突事件に関する菅内閣の失態によって、国民世論の眼が厳しくなったためだ。石原都知事の動きが一定の支持を得ている理由もそこにある。

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