世界政治の中心地・米国のホワイトハウス周辺では、米国に移住した世界各国の民主活動家たちが、しばしば祖国の独裁者を批判するデモを行う。祖国で同じことをやれば身柄拘束の憂き目に遭うが、「自由の国アメリカ」でその心配はない。

 ホワイトハウス近くの筆者の職場から見ていると、数あるデモの中で参加者が際立って多いのが、在米エチオピア人によるデモだ。そのエチオピア人デモ隊が「稀代の独裁者」として糾弾してきた一人の指導者が8月20日、ベルギーの首都ブリュッセルの病院で息を引き取った。エチオピアのメレス・ゼナウィ首相、57歳。6月17日にメキシコのロスカボスで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20)に出席した際、ひどく痩せていたことから健康不安説が浮上。エチオピアの首都アディスアベバのアフリカ連合本部(AU)で7月14日に開かれた首脳会議に姿を見せず、重病であるとの観測が広まっていた。エチオピア政府によると、2015年の次の総選挙まで、ハイレマリアム副首相兼外相が首相を代行するという。

 現職のまま亡くなったアフリカの首脳には、1967年から42年間ガボンの大統領の座に君臨し、2009年に亡くなったオマル・ボンゴがいる。

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