「原発ゼロ」で拡大するビジネスチャンス

執筆者:杜耕次2012年9月4日
8月22日、首相官邸で反原発団体の代表者と面会した野田首相 (C)時事
8月22日、首相官邸で反原発団体の代表者と面会した野田首相 (C)時事

 中長期のエネルギー政策を巡り、政府が「原発ゼロ」に傾きつつある。内閣府が中心となって検討を進めていた2030年時点の原発比率に関する3つの選択肢(「0%」「15%」「20-25%」)。7月14日-8月4日まで全国11カ所で開いた意見聴取会で参加者にアンケートを取ったところ、原発の比率に言及した約500人のうち、「0%」と答えたのは、「2030年」と明記したものが31.1%、時期を明記していないもの(即時廃止など)が45.4%で合計76.5%にも達した。以下「15%」との回答が4.6%、「20-25%」が9.8%、ほかに「原発が必要」とした回答者が9.1%いた。  7月2日-8月12日にホームページへの入力やFAX、郵送で受け付けたパブリックコメント(8万8280件)でも、87%が「2030年時点での原発ゼロ」を主張。さらに初めて採用した「討論型世論調査」の結果も「0%」を支持する参加者が最も多く、加えて討論を通じて33%から47%に増えるなど世論の流れは完全に「原発ゼロ」になっている。  当初政府は「15%」を落としどころと考えていたフシがあるが、元来「ポピュリスト」の集団である民主党はこの現実にすっかり腰砕けになった。野田佳彦首相は8月6日、「原発ゼロ」の課題と克服策の検討を経済産業相の枝野幸男ら関係閣僚に指示したのに続き、22日には毎週金曜日に首相官邸前で「原発再稼働反対」のデモを行なっている市民団体の代表者との面会に応じた。また中長期のエネルギー政策を所管する国家戦略相の古川元久は8月21日の閣議後の記者会見で「私はそれ(原発ゼロ)を目指したい」と明言した。

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