最近の大統領選挙キャンペーンで共和党の正副大統領候補の2人が繰り返し訴えている常套句がある。それは1980年の大統領選挙本選挙キャンペーンで現職大統領のジミー・カーターの再選を阻止するため、共和党大統領候補であったロナルド・レーガン元カリフォルニア州知事が繰り返し使っていた、「あなたの暮らし向きは4年前よりも良くなりましたか(Are you better off than you were four years ago?)」という決まり文句である。米国政治を長年見守ってきた専門家らにとっては聞き慣れた表現である。1980年以降も、再選を目指す現職大統領が、「経済・雇用問題」を主要争点として攻撃される際に使われることが多く、大統領選挙を現職大統領の信任投票(リファレンダム)に持ち込もうとする狙いがある。

 共和党全国党大会最終日の8月30日に行なわれた共和党大統領候補指名受諾演説でミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事は、32年前の大統領選挙キャンペーンでレーガン元大統領が有権者に対し繰り返し訴えたまさにこの表現を使った。そして、民主党全国党大会が開催される直前に、同大会が開催されるノースカロライナ州入りして遊説した共和党副大統領候補のポール・ライアンも、「あなたの暮らし向きは4年前よりも良くなりましたか」と有権者に繰り返し訴えている。「激戦州」を中心に精力的に遊説しているロムニー、ライアンの2人は今後もこの常套句を引き続き有権者に訴えることになるであろう。

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