反プーチン集会は失速し「ブレジネフ時代」に

執筆者:名越健郎2012年9月30日

 9月下旬、日露学術報道専門家会議代表団に参加して1週間モスクワに滞在し、ロシアの学者・専門家らと会った。中間層の反プーチン集会で追い詰められたプーチン氏が、当選後に異例の涙を流した3月の大統領選から半年。モスクワは平穏で、市民の表情も比較的穏やかだった。一方で、改革や近代化は進まず、閉塞感が強まっていた。今のロシア政治に魅力は乏しい。

 9月15日に全国の50都市で一斉に行なわれた反政府デモは、主催者側発表ではモスクワで15万人が参加したとしているが、実際には2万人に届かなかった模様だ。大統領選前、毎回10万人規模に膨れ上がった熱気は失せ、抵抗のシンボルである白いリボンを見ることもなかった。

 世論調査会社レバダ・センターのグドコフ所長によれば、反政府デモ参加者に占める共産党系や民族主義者の比率が増加。9月の集会参加者を調査した結果、民主的リベラル派の参加者は52%で、大統領選前の70%から減少した。共産党系は6%から18%に、民族主義者は5%から12%に増えた。同所長は「当初、選挙不正への抗議という偶発的衝動で結束した反政府集会は、時間とともにテーマが分散した。新左翼や民族主義者、君主制移行論者ら各政治グループも集会を利用するようになり、参加者も減った」と分析した。

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