早くも色褪せたオランドへの期待

執筆者:渡邊啓貴2012年10月3日

 夏休みが開けて本格的な政治の季節に入ったフランス。10月の来年度予算の攻防が控える中で、オランド政権は大きく揺らいでいる。その人気が急降下しているからである。政権誕生4カ月足らずで、早々に路線変更するとの噂も高まっている。

 1995年に任期を終了したミッテラン大統領以来の社会党の大統領誕生として、オランドが鳴り物入りでエリゼ宮(大統領府)入りしたのはついこの5月のことである。オランドが大統領当選の勢いをかって、米仏会議、NATO首脳会議で注目を集め、EU首脳会議ではメルケル主導の緊縮政策に真っ向から挑み、成長政策を標榜して気を吐いたのは、フランス国民の多くにとって、もはや色あせた昔日の思い出となっているのではないだろうか。

 8月の終わり頃からオランド大統領に対する支持率は急降下し始めた。IPSOS/Le Pointの調査では(世論調査機関・週刊誌、8月24日・25日)、大統領選挙の翌月に53%を示していたオランド大統領の支持率は44%にまで低下している。9月23日に週刊新聞『ジュルナル・デュ・ディモンシュ』に発表されたIFOP(世論調査機関)の結果では、8月に54%あったオランドの支持率は43%に下降し、他方で不支持率は45%から56%に上昇した。支持率と不支持率の乖離は13ポイントにまで開いている。歴代の大統領の選出4カ月後の支持率はミッテランが48%、シラクは33%(1995年)、サルコジは61%であった(シラクの場合には核実験再開で急降下、そののち回復した)。

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