朝日新聞が10月16日付で、韓国政府関係者の話として、北朝鮮の金慶喜(キム・ギョンヒ)党政治局員がシンガポールで甥の金正男(キム・ジョンナム)氏と極秘に接触していた可能性が高いと報じた。

 朝日新聞は金慶喜氏のシンガポール訪問は「北朝鮮の医師団の同行が確認されていないことなどから、治療目的ではないとの見方が強まったという」と報じた。

 金慶喜氏の動静については本サイトの「『経済改革』を前に身震いする金正恩後継体制(上)『金慶喜』の健康不安」で報告したように、9月1日から10月7日まで1カ月余にわたって報道がなかった。金慶喜氏は6月7日から7月25日までも公式報道が途絶え、7月25日から9月1日までは活発な活動が報じられた。

 金慶喜氏のシンガポール訪問情報はいずれも韓国のメディアが北京の北朝鮮消息筋の話として報じたが、この「北京の北朝鮮消息筋」は北京駐在の韓国の情報関係者をソースにした報道とみられる。ここでは、金慶喜氏のシンガポール滞在は9月中旬から10月4日までとされる。

 金慶喜氏のシンガポール訪問が金正男氏との極秘会談のためであるなら、この滞在期間は長すぎる。金正男氏との会談が目的なら3、4日あれば十分である。これだけ滞在期間が長いということはやはり健康問題が絡んでいる可能性が高いとみられる。「医師団の同行が確認されていない」のは「確認されていない」だけともいえるし、病状が重篤でなければ医師を同行しなかった可能性もあるとみられる。

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