田中眞紀子文部科学大臣が、来年度新設を予定していた3大学について、設置を認めないことを表明した。来春に向けてすでにさまざまな準備を始めていた3大学は大混乱。就任当初から危惧されていた田中大臣の暴走がいよいよ始まった・・ということだろう。

 ただ、本件のどこが暴走なのかは、整理しておいた方がよい。

 新聞報道では、

・大学設置・法人審議会が認可と答申していたのに、これを覆した、

・答申を覆した例は、少なくとも過去30年間なかった、

といった点が強調されている。

 自民党の安倍総裁も「既に決めたことをこんな形で急に変更するのは間違っている」と批判したそうだ。

 だが、こうした手続き論は的を射ていない。

 学校教育法では、

・大学設置の認可権者は、文部科学大臣(第4条)、

・認可の際に、文部科学大臣が大学設置・法人審議会に諮問する(第95条)、

と定められており、「答申どおり決定」というのはこれまでの慣例に過ぎない。

 認可権者たる大臣が自らの判断で答申を覆すことは、制度上は別におかしなことではない。

 問題はむしろ、文部科学大臣の判断が、法令に従った適正なものかどうかだ。

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