歴史上稀な全方位経済外交を推し進め、国益の最大化を目指しているインドは、決して相手国を表立って区別したり優先順位をつけたりすることはないが、対米関係が外交のトッププライオリティに位置付けられている、というのはもはや疑う余地はないだろう。

 印米協力は、歴史的な民生用原子力協力協定をはじめ、スーパーコンピューターや宇宙開発などのハイテク分野から農業、教育、そして対テロや軍事まで、きわめて幅広くかつディープである。その米国の次の4年間を担うトップに、現職のオバマ大統領が再選された。米国との戦略的協力関係がこれまで通り維持されることで、「友好国」インドの官民は再選をおおむね歓迎しているが、その一方でかねてから自国の雇用保護を重視し、インドへのアウトソーシング(業務委託)に批判的な立場をとってきたオバマ氏の続投には、印IT(情報技術)企業などから懸念の声も上がっている。

 オバマ氏再選のニュースに対し、大統領に転じたプラナブ・ムカジー氏の後任として古巣に復帰したチダムバラム財務相は「印米関係、とりわけ経済協力には良い影響が出る」と発言。インド商工会議所連盟(FICCI、日商に相当)のR・V・カノリア会長は「オバマ氏の再選は、印米の新たな戦略的関係の構築につながる」と賛辞を送り、高等教育や国防、内国安全保障、農業、そして原子力などの印米協力におけるオバマ政権の貢献を例に挙げ、高く評価した。

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