衆院選が12月4日に公示された。振り返ってみると、11月16日に衆院が解散された当時からすでに自民党が単独過半数を確保する勢いだと言われてきた。そして、自民党自身も圧勝を確信していたようにみえる。
 民主党政権3年間の日本の停滞を考えれば、その反動から自民党が優勢に戦いを進めると予想するのは分かる気もするが、それにしても自民党は余裕たっぷりだった。なぜだろうか。

小選挙区勝利「204」

 自民党は事前予想通りの大勝をおさめられるか (C)AFP=時事
自民党は事前予想通りの大勝をおさめられるか (C)AFP=時事

 その理由のひとつは、自民党が11月に自前で実施した世論調査で、予想を超える結果が出たからだと言われる。複数の党関係者の証言を総合すると、全国300小選挙区における独自調査の結果は次のようなものだった。
 2位以下に得票率10ポイント以上の差を付けて自民党候補がトップを独走している選挙区数……145。  2位以下との差は10ポイント未満だが、自民党がトップに立っている選挙区数……59。
 合計204選挙区。
 投票日まで1カ月近くあった。このため、その後の政治状況で有権者の志向が大きく動く可能性もあった。だが、300選挙区のうち、なんと204選挙区で自民党が勝利するという数字はインパクトがあった。この状況のまま投票日がやってくれば、自民党の完勝である。
 さらに、ここに比例代表の議席数を加えるとどうなるか。前回2009年の衆院選で、自民党は惨敗した。その選挙でさえ、自民党は全国11カ所の比例代表ブロックで計55議席を獲得した。選挙区と比例代表を足すと259議席になる。衆院の総定数480の過半数241を大きく超える数である。

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