選挙中だからこそ「公選法のダメさ」を考えよう

執筆者:出井康博2012年12月12日
 手のかかる「証紙貼り」作業(筆者撮影)
手のかかる「証紙貼り」作業(筆者撮影)

 総選挙が公示された12月4日午前10時半――。 近畿地方に選挙区がある民主党候補者の事務所では、60―70代の女性ボランティア4人が机に向かっていた。選挙で使うビラに「証紙」を貼る作業をしているのだ。

「小さな字やなあ。何が書いてあるか見えへんで」

 そんな軽口を叩きながら、細かい字が並ぶ切手サイズの証紙をビラの隅に貼り付けていく。机には包装されたビラの束が積んである。証紙が貼っていないビラを配ることは、公職選挙法で許されていない。事前に準備しておけばよさそうだが、選挙管理委員会から証紙が渡されるのは公示日になってからだ。

 公示日の朝、選挙事務所は多忙を極める。証紙貼りの他にも、ボランティアが頼みの作業は多い。公営掲示板へのポスター貼りも重要な作業のひとつだ。掲示板の数は選挙区によっては2000以上に及び、数十人のボランティアが必要となる。また、街中に貼ってある候補者のポスターも選挙用に貼り替えなくてはならない。やはり、公職選挙法でそう定めているのだ。

 

「無意味かつ無駄」な規定

 

 証紙貼りを始めて1時間が経過した11時20分。4人のボランティアで証紙を貼り終えたビラは2000枚に達した。だが、先は長い。同法が上限に定めるビラの数は11万枚(個人ビラ7万枚と政党ビラ4万枚)に及ぶ。当然、証紙貼りは1日では終わらず、選挙戦の終盤まで続くことになるだろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。