金正恩が受け継いだ「核とミサイルへの信奉」

執筆者:平井久志2012年12月14日

「軍事技術的優位は、もはや帝国主義者の独占物ではなく、敵が原子爆弾で我々を威嚇、恐喝していた時代は永遠に過ぎ去った。今日の荘厳な武力示威がこれを明白に実証するであろう」

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が今年4月15日の金日成(キム・イルソン)主席誕生100周年を祝う閲兵式で行なった演説の一節である。この演説は、本来、4月13日に「光明星3号」の打ち上げに成功した上で行なわれるべきものであった。その上でこの演説を行ない、閲兵式の軍事パレードで長距離弾道ミサイルを誇示してこそ「敵が原子爆弾で我々を威嚇、恐喝していた時代は永遠に過ぎ去った」という言葉が重みを持った。北朝鮮が4月13日に「人工衛星」打ち上げに失敗したことで、金正恩氏のこの言葉が空しく響いた。

 しかし、北朝鮮はそれから約8カ月を経て、この言葉の持つ意味を国際社会に再認識させることになった。

 

変わらぬ信念

 北朝鮮は12月12日午前9時49分46秒に、同国北西部にある平安北道鉄山郡東倉里の「西海衛星発射場」から「光明星3号2号機」を打ち上げ、9分27秒後である9時59分13秒に軌道に進入させた。

 朝鮮中央通信は「光明星3号2号機は97.4度の軌道傾斜角で近地点高度499.7キロ、遠地点高度584.18キロの極軌道を回っており、周期は95分29秒である」とし、「光明星3号2号機打ち上げの完全な成功は、朝鮮労働党の科学技術重視政策の誇らしい結実であり、自主的な平和的宇宙利用の権利を堂々と行使して国の科学技術と経済を発展させるうえで画期的な出来事となる」と成功を称えた。

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