「ミミ・サロン」参加者のアルバムを開く栗山昌子さん(筆者撮影)
「ミミ・サロン」参加者のアルバムを開く栗山昌子さん(筆者撮影)

 大使夫人の活動は一般に知られていない。しかし任地で創意工夫を凝らし、幅広い交流と人脈を築き、夫の仕事に貢献している人も少なくない。これは日本外交にも有形無形の財産として跳ね返っているのである。

 元駐米大使、栗山尚一氏の夫人の昌子さんはダイナミックで活動的な外交官夫人として知られている。初めて大使夫人として暮らしたのはマレーシア(1985-87年)だった。マレーシアについての知識がまったくなかった昌子さんは、赴任前、多忙な夫に代わって1カ月間、外交研修所に通い、マレー語とマレーシア事情の講義を受けた。

「あれは本当に役立ちました。行ってすぐ習いたてのマレー語で話しかけ、部屋には靴を脱いで入るという向こうの習慣に従ってそうすると、『エッ、なぜ知っているの』とびっくりされました」

 昌子さんは「仲良くなるには政治と経済だけではダメ。心を通じさせなければ」と、婦人会の文化的活動に参加し、多くのマレーシアの友人を作った。夫が外務次官になり、残念ながらわずか1年半で帰国することになったが、帰国後、「マレーシアの魅力」という本を上梓。両国の友好促進に尽力した功績でマレーシア国王から勲章を授与された。

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