IT(情報技術)を駆使した最先端のサービスや高級品があるかと思えば、旧態依然の人海戦術やどうしても品質に難があるロースキルの工業製品が堂々と売られていたりするのが、まだら模様の発展を続けるインド消費市場の特徴でもある。それでも最近は、「先進国なら当たり前だがインドでは画期的なサービス」「なくても困らないが、あると便利なニッチ商品」などが続々と市場に投入され、好評を得るようになってきた。 インドの消費者もようやく、機能や品質、そしてデザインなどでモノやサービスを選ぶ時代の入り口に到達したようだ。

「ニッチ商品」の意外なヒット

  先進国型の商品導入例としては便座除菌スプレーやいびき防止剤などが挙げられる。除菌スプレー「エラボ」は、もともとヒンドスタン・ユニリーバやゴドレジ・コンシューマー・プロダクツなど日用品大手へのOEM(相手先ブランドでの供給)生産が主だったアジアン・エアロゾル社の製品。単なる清潔志向というよりも、非衛生的な便座の使用によって尿路感染症の罹患率が高いインドの女性の切実な期待に応えた商品と言える。「エラボ」は約150回使用できる75ミリリットル入りスプレーが99ルピー(約150円)と決して安くないが、年内に300万個を出荷予定というヒット商品になった。

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