総選挙で圧勝し第2次安倍内閣をスタートさせた安倍晋三氏(c)時事
総選挙で圧勝し第2次安倍内閣をスタートさせた安倍晋三氏(c)時事

――多くの国で重要な選挙が行なわれた2012年。中道左派的なものがかろうじて踏みとどまった米仏に対して、日本では中道左派が壊滅し、しばらくは「右」中心の政治が続く状況が出現した。審判は下った。しかし、人々の民意は選挙によって汲み取られたのだろうか。また、もし、それがなされていないとすれば、民主主義を実現するための別の方策はあるのか。新たな年の政治の行方を、政治学と文化人類学の視点から、2人の論客が占う。

宇野重規 2012年には世界の主要な国で選挙があって、リーダーが交代しました。世界的に見ると、右派・保守が勢力を伸ばし、中道左派が苦境にあるというのが基本的趨勢ですが、それでも5月のフランス大統領選では社会党のオランドが勝ち、11月の米大統領選でも苦戦の末に民主党のオバマが再選された。そういう意味で、2012年は中道左派的なものが、首の皮一枚でかろうじて踏みとどまる、そういう1年になるのかと思っていました。

 ところが日本では、中道左派が踏みとどまるどころか、壊滅的に後退してしまった。今回の選挙で民主党が政権を失うことは分かっていましたが、議席が50台まで落ちるとは思わなかったし、自民党がここまで圧勝するとも思わなかった。

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