「国際社会の新たな秩序化」としてのTPP

執筆者:田中直毅2013年1月9日

 安倍晋三新首相は、総選挙に臨むに当って、日本の歴史的位相をどうとらえるのか、という論点提示にこだわった。選挙に大勝した後は、尖閣問題や竹島・従軍慰安婦問題についての積極的な発言は控えているが、安倍首相のこれらの問題についての「こだわり」が、我が国の外交をどこに導くかについては、これからも常に注視する必要がある。

 東アジアの隣国でも、2013年は新指導者が自らの政治基盤の確立をめざして模索を開始する。中国の習近平総書記は、「中華民族の偉大な復興」という言葉を自国民に対する呼びかけとしている。尖閣諸島を対日カードとして仕立てることへのこだわりは、おそらく、今回の歴史的局面の最後の最後まで持続する、と覚悟すべきだろう。中国共産党の国民党からの奪権は、抗日戦争を組織化することによって可能になったという歴史的事実もある。こうしたなかで安倍政権は中国と同じ歴史の地平に立ち、中国と対峙し続けるのか。

 

韓国新政権の性格

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)新大統領を朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の長女としてのみ認識することは余りにも危うい。1965年の日韓正常化からはすでに半世紀近い時間が経過している。彼女が政治家になる決意を固めるきっかけとなったと思われる、国際金融危機が韓国を襲った1997年の国難からもすでに15年以上が経過している。韓国を外貨危機が襲った当時の日韓関係を振り返れば、朴正煕時代に実質上の幕僚として大きな役割を果し、国営製鉄所ポスコの経営者となった朴泰俊(パク・テジュン)氏一行が来日し、日本政府の要路に対して資金繰り要請を行なった。「韓国への支援を決して断れない唯一の国が日本」という共通認識で、彼らは日本に向かったのである。

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