北京「新京報」に飛び火した南方週末問題

執筆者:野嶋剛2013年1月10日

広州に本拠を置く南方週末の記事差し替え問題が9日、北京にも飛び火した。

南方週末の問題で、党中央宣伝部は8日、各メディアに対し、党の検閲と記事差し替えに反旗を翻した南方週末を批判した人民日報系の「環球時報」の評論を転載するように命じた。ほぼすべてのメディアが応じたが、北京の夕刊紙として人気を集めている「新京報」は戴自更社長が自らの首をかけて転載を拒否しようとした。8日から9日にかけての新京報と党側との緊迫したやりとりが、新京報の記者によって外部に伝えられ、戴社長は9日の中国ネット上で「英雄」となった。

この記者は8日の編集部の様子を「あまりにも多くの絶望があり、メディア統制の証人として、皆さんに状況を伝えたい」として、このように書いた。

「8日夜8時半ごろ、北京市党委員会宣伝部副部長が来訪し、四階の会議室に陣取った。宣伝部の態度は強硬かつ明確で、9日には必ず環球時報の評論を載せなければならないと要求した。私たちの社長の意見は『載せない』だったので現場は緊張に包まれた。社長と編集長は、もし載せるならば、辞任すると主張した。我々は8日に環球時報の評論を載せなかったことを嬉しく思い誇りを感じた。しかし圧力はあまりにも大きすぎた。戴社長に我々は会議室に集められ、意見を聞かれた。みんなが環球時報の評論を載せることを反対した。だが、載せなかったときは最悪の結果となる、つまり新聞発行ができなくなることもあると分かり、みんな涙を流して沈黙した」

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