昨年暮れから年初にかけて、バラク・オバマ大統領は今月20日に発足する第2期政権の主要人事を相次いで発表した。本稿では国務長官、国防長官、米中央情報局(CIA)長官といった国家安全保障関連の主要人事に焦点を当てて検証していきたい。

 オバマ大統領は先月21日、退任するヒラリー・クリントン国務長官の後任に、上院外交委員会委員長で、2004年民主党大統領候補のジョン・ケリー上院議員(民主党、マサチューセッツ州)を指名した。また、国防長官を辞任して自宅のあるカリフォルニア州での穏やかな生活を送ることを希望していたレオン・パネッタ氏の後任には、ジョージ・W.ブッシュ前政権のイラク政策を厳しく批判していた共和党穏健派のチャック・ヘーゲル元上院議員(共和党、ネブラスカ州)が今月7日に指名された。また、同日、オバマ大統領は次期CIA長官に、国際テロ組織アルカイダの指導者であったオサマ・ビン・ラディンの殺害作戦や無人機攻撃に深く関わってきたジョン・ブレナン大統領次席顧問(国土安全保障・テロ対策担当)兼大統領補佐官を指名している。

 4年前の2009年1月に発足した第1期オバマ政権では、オバマ大統領は国務長官に2008年民主党大統領候補指名獲得を激しく争ったクリントン上院議員(当時)を指名して世間を驚かせた。国防長官についてもジョージ・W・ブッシュ政権で同ポストにあったロバート・ゲーツ氏に留任を要請している。第1期オバマ政権における主要閣僚人事の陣容は、「チーム・オブ・ライバルズ(“Team of Rivals”)」と呼ばれた。当時、オバマ氏自身も愛読していた、自らの政敵をも政権の主要閣僚ポストに配置し、南北戦争の中で巧みに政権を運営したエイブラハム・リンカーン大統領の姿を描いた歴史家ドリス・カーンズ・グッドウィン女史の著書「チーム・オブ・ライバルズ」に因んだものだ。

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