「新年の辞」の演説を行なう金正恩氏 (C)AFP=時事
「新年の辞」の演説を行なう金正恩氏 (C)AFP=時事

 金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は、元日に肉声演説で北朝鮮の施政方針演説ともいうべき「新年の辞」を発表した。父・金正日(キム・ジョンイル)総書記は演説が嫌いで、労働新聞などの新年共同社説を毎年発表してきた。北朝鮮の最高指導者による「新年の辞」発表は、祖父の金日成(キム・イルソン)主席が1994年元日に行なって以来19年ぶりだ。

「新年の辞」のポイントは「経済強国建設」と「南北関係改善」にあった。

 金日成主席のパフォーマンスを真似た肉声演説だったが、内容的には新指導者の新しい時代の出発を予告するような斬新さや踏み込んだ内容はなかった。

 北朝鮮は昨年、金日成主席誕生100周年を迎えた。北朝鮮が使っている「主体年号」では昨年は「主体101年」であった。昨年の元日は従来の新年共同社説が発表された。その直前に父・金正日総書記が亡くなったので、準備していた共同社説に若干の手を入れるレベルの内容でしかなかったことは理解できる。

 しかし、今年の元日は「金日成主席と金正日総書記の100年」が終わり、新たな「金正恩第1書記の新世紀」がスタートする日であっただけに、その内容面での貧困さは金正恩後継体制が直面している困難を露呈したともいえる。

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