いまや、世界を揺るがす軍事衝突の懸念の対象は、アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃、シリア内戦への欧米の軍事介入の2つに次いで、尖閣をめぐる日中の交戦だ。日本人は「まさか」と思うが、世界の目を冷静に見つめ返そう。英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」は年末12月30日の特集「2013年の幕開け」で、今年起こる可能性の1つに日中軍事衝突を挙げて東京特派員に予測を書かせている。答えは「No」だが、日中ともに右派の指導者が生まれ「仮に流血が起きたとすれば、国際的危機だ」。世界の目に、日中軍事衝突は「想定外」ではなくなっている。【Raising the curtain on 2013, The Financial Times, Dec. 30】

 

中国の宣伝戦に負ける日本

  1月7日付の豪保守系紙「オーストラリアン」は紛争防止活動を行なう国際NGO「国際危機グループ」の北東アジア担当者による寄稿「日中のための平和的解決法」を載せた。昨年12月13日の中国国家海洋局の小型プロペラ機による尖閣領空侵犯に対し、日本が「F15戦闘機8機」を緊急発進させたのは「軍隊による初の直接関与」で「世界の2位、3位の経済大国間の領土紛争は、新たな不穏な段階に入った」と、寄稿は見る。日本が先に軍事的関与を始めた。これが世界的な視点になっていることは、気にとめておくべきだ(中国の宣伝戦に負けている)。【Peaceful Way Out For China And Japan, The Australian, Jan. 7】

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