中国が、日本の「武器輸出三原則」見直し論議に警戒を強めている。中国側の論理では、論議の狙いは「中国統一への干渉」、すなわち、日米が連携して台湾へ武器を輸出しようとしている、ということになるからだ。 中国の軍当局は、日本が海上自衛隊を退役した通常型潜水艦を輸出するのではないかと疑っている。台湾は七月に約二兆円相当の米国からの兵器調達特別予算をまとめた。ディーゼル潜水艦八隻も含まれている。だが米国は現在、原子力潜水艦の製造能力しかなく、製造技術を持つドイツ、オランダは政府が明確に台湾向け武器供与を否定している。 八月二十三日に石破防衛庁長官を表敬訪問した中国軍の佐官級訪日研修団が儀礼を破って質問したが、回答は「関連技術を含め台湾への輸出はありえない」。だが、中国側は「米国がいったん購入する形をとって台湾に迂回輸出するのでは」と疑っている。 防衛庁幹部は「内部で検討したことすらない」と明言するが、一方で別の“武器輸出計画”を明かした。エネルギーの大動脈、マラッカ海峡に出没する海賊対策として、退役した水上艦艇をインドネシア海軍などに供与する案が浮上しているのだ。実現の可能性は不明だが、これにもまた中国は懸念を唱えてくるかもしれない。

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