イラクのシェイハリ駐英大使がイスラエルの日刊紙「ハーレツ」上で、イスラエルとの外交関係樹立に前向きな発言を行なった。大使は「まだ条件は整っていない」と述べてはいるものの、将来的な可能性までは否定していない。 特に関心を集めたのは、「イラクのビジネスマンや暫定政府の高官たちからなる強力な圧力集団が(イスラエルとの外交関係樹立に)動いている」と明かしたこと。戦後、国内にイスラエル製品が出回っているとの噂が絶えない状況だけに、「イラクの有力者たちはイスラエルや米国との関係修復に前向き」との観測が強まった。 イラクが石油・ガス資源を世界に売るには、イスラエルと米国のネットワークが不可欠。亡命イラク人の中には石油産業などで枢要な地位に就いた者も多く、彼らにとって「反米・反イスラエル」はむしろ邪魔な看板だ。 イランとの資源紛争を想定してイスラエル外交官を受け入れていると言われるカタールのように、資源取引で両国の協力を得ておくことには安全保障的意味合いもある。シェイハリ大使の発言の裏には、資源大国化への青写真を描くイラクの戦略があると見られる。

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