電気・電子機器の「軽薄短小」と「三高」という二つの流れはとどまるところを知らない。ちなみに三高とは、高性能・高機能・高速のこと。その流れの速さは、開発者自身が「ついて行けない」と悲鳴を上げるほどだ。軽薄短小と三高では、半導体の高集積化のような部品の小型化と高機能化ばかりが注目されるが、その裏で、小型化した部品をどのように配置し、支えるかという課題が解決されなければ真の軽薄短小・三高は実現しない。つまり基板とハンダ付けの技術である。 基板やハンダ付けの技術は、かつて「必要とされているが高い付加価値はない」とされた。しかし、いまや基板とハンダ付けの技術は付加価値の高いキーテクノロジーという地位を獲得しつつある。これらの分野で、大手メーカーとは一線を画した独自のビジネスモデルを打ち立てた企業がある。「ジレンマの凝集」とも言われる数々の課題をいかに乗り越えてきたか。実装の高度化を支える陰の立て役者を訪ねてみた。プリント基板は“芸術品”の域に かつての電気機器は、部品を箱形の金属の台の上に載せ、台の裏側で部品の足(リード線)同士を銅線でつないでいた。この単純な接合技術に革命が起きたのが一九六〇年代。トランジスタが実用化され、一枚の板の上に銅箔で回路を形成して部品を載せる表面実装技術が登場した。銅箔で回路を形成することから、その基板は「プリント配線板」と呼ばれる。

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