中国の三大エネルギー企業体制に、本格的な変化の兆しが見えている。一九九八年、中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)、中国石油化工(シノペック)、中国海洋石油(CNOOC)の三社は分野別・地域別に事業を再編し、現在の分業体制を構築した。そのテリトリーを打ち破る「再々編」とも言うべき方向性が、次第に明確になっている。 九八年七月、それまで石油採掘などの上流部門を手掛けていたペトロチャイナと、石油精製・加工などの下流部門を手掛けていたシノペックの二社は、それぞれが上流から下流までを手掛ける「垂直統合型の二大グループ」に生まれ変わった。国営エネルギー企業の競争力の向上を図るのが、この大規模な業界再編の目的だ。主な管轄区域はペトロチャイナが北部・西部地域、シノペックが東部・南部地域。一方、CNOOCは海洋油田を専門に手掛ける会社と位置づけられた。 だが今年七月、この分業体制を崩す動きが相次いだ。ペトロチャイナは中国国土資源省から南シナ海南部における探鉱開発権を授与され、シノペックは東シナ海と渤海における探鉱開発権を政府に申請した。一方、内陸でもCNOOCが内モンゴル自治区政府と石油・天然ガスプロジェクトを締結。さらにシノペックは新疆ウイグル自治区のタリム盆地で油田を発見したと発表した。九八年当初に決めたテリトリー分けは実質的に消滅し、各社が戦略上有望な地域の権益を自由に取りに行く体制へと移行しつつある。

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