六八%、五四%、三五%――。これはそれぞれ、チェコ、ハンガリー、ポーランドの株価指数の二〇〇〇年末から今年八月末までの上昇率である。英仏独の最近の株価指数が、二〇〇〇年末の水準から三〇―四〇%下落したままで推移しているのに比べると、中欧の株式相場の堅調ぶりが際立つ。五月のEU(欧州連合)拡大前後に一時的に下がる局面もあったが、なお高値圏で推移している。 相場の牽引役は、チェコのCEZなどエネルギー銘柄、ハンガリーのMATAVといった通信銘柄など、今後の中欧経済の発展の基盤となる業種に多い。オーストリアのエアステ銀行など進出先のチェコで上場した銀行の株も買われている。 中欧経済は向こう数年間、三―一〇%の経済成長を持続すると見られている。安価な労働力を求めて西欧企業の中欧への進出は今後も続く見通しだ。中欧から域外への輸出も拡大。徐々に中欧諸国の生活水準も上がり、内需も拡大しそうだ。成熟した西欧と違って、経済水準が相対的に低い中欧は伸び盛りの市場と見て間違いない。 投資家にして見れば、それだけ投資妙味がある。これまで中心的な買い手は欧米の投資ファンドだったが、最近は、制度改革でできた地元の年金基金も新たな買い手として登場しつつある。

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