12日午後、北朝鮮の核実験を受けて会談する韓国の李明博大統領(右)と朴槿恵次期大統領[韓国大統領府提供](C)時事
12日午後、北朝鮮の核実験を受けて会談する韓国の李明博大統領(右)と朴槿恵次期大統領[韓国大統領府提供](C)時事

 北朝鮮は2月12日に金正恩(キム・ジョンウン)体制ではじめて核実験を行なった。同日、国連の安全保障理事会が非難声明を発表したのは当然のことであろう。それではわれわれは、北朝鮮のこうした突出を阻止できなかった背景をどのように理解すればよいのか。

 北朝鮮の核実験予告が行なわれた1月下旬に、ソウルで南北朝鮮統一の可能性を探る国際シンポジウムが行なわれた。韓先財団(韓国を先進国に引き上げるという趣旨に基づく研究所)はこれで3回連続して主催団体の役割を果している。この間わずか4年ほどしか経過していないが、韓国からみると中国の比重は格段に重いものになってきた。そしてここでも日本の比重は低下し、米国は朝鮮半島については次第に現実の追認という潮流にあるように思われる。北朝鮮の冒険主義的軍事挑発をどう受け止めるのかをめぐって、多様な見解がソウルで交錯したのは、こうした地勢学上の変化を考えれば当然のことであろう。

 

「北を支えているのは中国」という事実

 朝鮮半島情勢について第1に確認すべきは、北朝鮮の国家としての生存を経済的に支えているのは中国だという冷厳な事実である。燃料では8割、食糧では5割の援助負担になっているというのが国際的な相場観である。KDI(韓国開発研究院)が発表する北朝鮮をめぐる貿易統計によっても2011年の中国からの輸入は31億ドルを上回り、輸入総額に占める比重は1カ国で73%に及んでいる。中国向け輸出は25億ドル弱で比重は66%に及ぶ。中国向け輸出は2010年と2011年に増加額がそれぞれ4億ドル弱、12億ドル強となっている。増加寄与率では無煙炭が10年に3分の1、そして11年に2分の1強となっている。この外には鉄鉱石の寄与率も大きいところから、北朝鮮の鉱山資源に対する中国の関与度合がここのところ急拡大していることがわかる。生殺与奪の権を中国が握っていることは間違いない。なお北朝鮮との貿易を省ごとにみると、遼寧省、山東省、吉林省、黒龍江省の順となっており、こうした地縁の強い4省合計で4分の3を占めている。

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