ロシアは「北朝鮮問題」で日米韓に傾斜

執筆者:名越健郎2013年2月14日

 2月12日の北朝鮮による3回目の核実験で、北朝鮮が米中に加えて、ロシアに事前通告したかどうかで情報が錯綜した。通告がなかったなら、核超大国としてのロシアのメンツが立たず、朝鮮半島のプレーヤーとして格落ちとなる。

 インタファクス通信によれば、ロシア外務省筋は12日、「北朝鮮は米中両国に対し、核実験実施を日時などには触れず事前通報した。そのような事前通告はロシアにはなかった」と語った。その後、外務省高官はこの情報を否定。「ロシアにも事前通報があった。この種のことを大々的に公表する必要はないと考えた」と述べた。韓国の聯合ニュースも、北朝鮮が核実験の14時間前に米中露に通報していたと報じていた。

 2006年の最初の核実験で、北朝鮮は実施の4時間前に中国にだけ伝達。09年の2回目では、30分前に中国に伝え、その5分後に米国に知らせていた。過去2回はロシアに通報しなかった。今回通告があったにしても、これまでの無視は、核大国・ロシアの威信を傷つけたに違いない。

 核実験に対するロシアの声明は日米韓と同様に厳しい内容で、ウシャコフ大統領府報道官は、「北朝鮮がこうした挑発をやめ、核・ミサイル開発を中止し、核拡散防止条約(NPT)体制に復帰するよう要求する」とし、プーチン大統領は情勢を詳細に追っていると付け加えた。ロシア外務省も、「国連安保理決議違反」と非難し、核・ミサイル開発の放棄を要求した。

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