次期ローマ法王「南米」「アフリカ」はあるのか

執筆者:秦野るり子2013年2月19日

 ローマ法王ベネディクト16世が、イタリア時間の2月28日午後8時をもって退位する。次期法王を選ぶコンクラーベは、3月中旬には開かれる見通しで、バチカン関係者やイタリアなどのマスコミは、早くも有力候補の話題で持ちきりだ。一方で、約600年ぶりの法王辞任のため、これに備えた法が整備されていないことがわかり、関係者を悩ませている。

 

「漁夫の指輪」と「鉛の印鑑」

 ベネディクト16世が退位を表明した2月11日、バチカンのサンピエトロ大聖堂のドーム屋根に落ちた雷(C)AFP=時事
ベネディクト16世が退位を表明した2月11日、バチカンのサンピエトロ大聖堂のドーム屋根に落ちた雷(C)AFP=時事

 バチカンの憲法ともいえる「教会法」では、第332条第2項で「ローマ法王が辞任する場合には、辞任が自由になされ、かつ正しく表明されなければ有効とならない」と、外部圧力によるものでないことを条件に辞任は認められると規定している。

 法王の座が空位となってから新法王が誕生するまでの手続きは、教会法とは別に定められた「使徒憲章」で細かく規定している。だが、教会法で辞任を容認しているにもかかわらず、使徒憲章には辞任によって空位となった場合の記述がほとんどない。

 例えば、法王の死を受けての最初の手続きとしては、ダン・ブラウンのベストセラー小説『ダヴィンチ・コード』に登場してカトリック信者以外にもおなじみになった「カメルレンゴ」と呼ばれる役職の枢機卿が、バチカンを代表して死を確認したうえで法王宮殿内の書斎と居室を封印し、法王の証しである漁夫の指輪と鉛の印鑑を破壊することになっている。

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