日本はなれない常任理事国

執筆者:2004年11月号

 君子は豹変す、と言ったら褒めすぎか。何を血迷ったか、と言うと一国の宰相にあまりにも失礼になるか。小泉純一郎首相が国連総会で演説し、日本が国連安保理常任理事国になりたいと正式に表明した。日本の関係者以外、聴衆は数えるほどしかいなかったとは言え、これは一大事である。 何が一大事なのか。日本が意欲を示したことではない。常任理事国入りは外務省の悲願だったから、さして不思議なことではない。一大事というのはこれまで常任理事国入りにもっとも強硬に反対していた首相が推進派の先頭に立ったことである。「結構なことじゃないか。間違いを正す、これぞ君子」とうなずく人も多かろうが、なぜ推進派に転じたのかご本人は一切語ろうとしない。 それもよかろう。かつて反対していたから、これからも反対しなければおかしいなどと棒を飲んだようなことを言うつもりはない。ならば、日本が常任理事国になることが果たして可能なのか。どれだけ実現性があるのか。結論から言えば、「蠅」子には可能性「ゼロ」にしか見えない。日本は国連の費用の一九%も負担しているから、常任理事国になるのは当たり前だ、と考えているのは外務省の役人ぐらいだ。 日本が常任理事国になることにどの国が賛成してくれるのだろうか。米国? ニューヨークで小泉首相と会談したブッシュ大統領は、首相の要請をただ聞き流した。心から賛成しているとはとても思えない。いまの常任理事国はすべて核保有国である。拒否権という大権を保有している。米、英、仏、中、露の五カ国のうち一カ国でも反対したら、国連改革(安保理拡大を含む)は成り立たない。

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