ロシアのプーチン政権が、チェチェン共和国独立派の最強硬派、バサエフ野戦司令官の居所を知っていながら放置しているとの疑いが出ている。 チェチェンのドゥダエフ初代大統領は一九九六年、携帯電話で会話中に衛星で探知され、ロシア軍のミサイル攻撃により死亡した。バサエフ司令官は北オセチアの学校占拠事件の際、武装勢力に終始携帯で指示を送っており、居場所は探知できたはずなのだ。ロシアは同司令官に十一億円の懸賞金をかけたが、掃討作戦はほとんど行なっていないとの情報もある。 消息筋は「政権側にしてみればチェチェン紛争の継続は、権力の中央集権化の口実になる。二〇〇八年の大統領任期終了前に三選禁止の憲法を改正し、長期政権に道を開くことも可能だ」と述べた。チェチェン紛争が終息すれば、権力独裁化の口実がなくなる。 紛争はロシアの軍産複合体にとって巨大な利権の温床という側面もあり、一方、独立派にしても、テロ継続によりアラブ諸国から資金援助が得られるという利点がある。双方に奇妙な相互依存関係が生まれつつあるわけで、「だからテロと紛争は長期化する」とロシア政界筋は指摘する。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。