旧ユーゴスラビア(現セルビア・モンテネグロ)の首都ベオグラード近郊のビンカ核科学研究所に、大量の核物質などが貯蔵されており、テロリストや過激派から狙われる恐れがあるとして各国治安当局は懸念を強めている。 ニューヨークの国連本部の大量破壊兵器問題担当官らによると、ビンカ研究所は一九四八年に建設され、旧ユーゴ連邦の核計画の一環として核兵器開発プロジェクトを進めていたが、ユーゴ連邦解体に伴い、同プロジェクトは頓挫。 しかし、核兵器開発のインフラや技術はほぼそのまま残されている。現在はセルビア・モンテネグロの共同管理下に置かれているものの、保全体制が劣悪で大量の核物質や核廃棄物の貯蔵や保管がままならない状態にあるという。 国連本部の同担当官らは、アル・カエダや中東のイスラム過激派、イランの原理主義グループなどが同研究所に目をつけ、核物質や核開発装置の略奪を図る可能性があると指摘。実際、英仏の情報機関筋によれば、今夏にイスラム過激派とみられる数人が同研究所に侵入し、核物質を持ち去ろうとする寸前に逮捕されたとの信頼すべき情報もある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。