全国で火を噴き始めた警察「不正経理」告発

執筆者:高田昌幸2004年11月号

相次ぐ内部告発は、不正の根深さを感じさせる。決して「一枚岩」ではなかった警察組織が抱える「裏金」問題のさらなる火種とは――「予算の適正執行に万全を期し、公金の取り扱いにいささかの疎漏もあってはならないところ、このような実態があったことは極めて遺憾であります」 九月十三日の北海道議会総務委員会。裏金問題に揺れる北海道警の芦刈勝治本部長は、議員や道民に頭を下げた。本誌八月号でお伝えした通り、裏金の存在を全面否定していた道警が、ついに組織的に裏金をつくっていたことを認めた瞬間である。組織ぐるみの裏金を公式に認めたのは全国で道警が初めてだ。 その内容が凄まじい。 道警は「内部調査の中間報告」として、一九九八年度から二〇〇〇年度までの三年間に執行された捜査用報償費(捜査に協力してくれた市民に対し「情報提供謝礼」などとして支払われる都道府県費)と捜査費(同趣旨の国費)の計約十四億円について、「ほぼ全額が裏金になっていた」と報告した(ただし、道警は報告日の夜に「裏金総額は計約十一億円だった」というファクスを一方的に報道各社に送り、裏金総額を下方修正した)。さらに、「裏金づくりは、道内六十八の警察署をはじめ、道警本部各課や各方面本部など百五十九部署のほぼすべての部署で行なわれていた」「警察署長や本部・方面本部の課長、会計担当者らは裏金の実態を熟知していた」などと認めたのである。

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