原油高の煽りを食って中東輸出はモノからヒトへ
2004年11月号
中国が民族系メーカーの有望な輸出先としてこの四、五年重視してきた中東向けの輸出が伸び悩んでいる。中国メーカーが常設の製品展示場を設けた中東の卸売り・流通の拠点、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでは、昨年あたりから家電製品の業者の店先から中国製のテレビ、冷蔵庫、エアコンなどが姿を消し始めた。三年ほど前には強い価格競争力を武器に日本や韓国メーカーのシェアを奪っていた状況から様変わりだ。 代わって目につくのは日本勢の復活。液晶、プラズマテレビはじめ空気清浄機能付きエアコンなど松下、ソニー、シャープなどの製品が小売店の店頭で大きなスペースを確保、中国製品は低価格のラジカセやマッサージ器などがかろうじて売られている程度に落ち込んだ。 変化の原因は単純。昨年来の原油価格の高騰で、湾岸地域を中心に景気が急激に回復、昨年の経済成長率はサウジが七・二%、UAEが七・〇%、クウェートが九・九%に達した。その結果、中東各国の市民の財布のひもがゆるみ始めたからだ。「カネができれば、安手の中国製品よりも日本製品」というのが中東の庶民の一般的な考え。中東の好景気が逆に中国製品には災いしている。 一方、湾岸各国の建設市場では中国のプレゼンスが拡大している。ドバイの海岸にそびえ立つ、高さ三百二十一メートルで世界最高層のホテル、「バージュ・アル・アラブ」が象徴するように湾岸では高層ビルの建設ラッシュ。香港、上海などに林立する百メートル以上の高層ビルを竹を組んだ足場だけで短工期で建ててしまう中国の建設業者は、湾岸でも強い競争力を発揮している。
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