カレッジリンク型ホームは老後を変える

執筆者:村田裕之2004年11月号

 人生のスタート地点が大学だとしたら、ゴール地点のような存在の老人ホーム。米国では、一見相容れないこの二つが結びつき、全く新しい商品が生まれている。大学が子会社を作って運営する「カレッジリンク型」と呼ばれる老人ホームだ。マサチューセッツ州ニュートン市の「ラッセル・ビレッジ」もその一つ。施設は私立大学ラッセル・カレッジの敷地内にある。「大学キャンパスに施設があるのはとても魅力的。若い人が周りにいることが大切なんです。ほとんどの老人ホームは若い世代から隔離されているでしょう」 こう語るのは入居者のグロリア・トーマスさん(六七)。入居者は、年四百五十時間以上、大学の授業に参加することが義務づけられている。この時間数は、ラッセル・カレッジの学生とほぼ同じ。つまり、六十五歳から九十五歳までの入居者は、大学生並みにクラスに参加し、勉強する必要がある。にもかかわらず、二〇〇〇年五月の開設と同時に定員二百十人が満員、百四十人以上が、今も入居待ちという大ヒット商品となった。 入居者は独自のクラスに加え、学生との共同クラスにも参加できる。一方、学業や人生など、様々なトピックの相談相手となり学生に感謝されるという喜びもある。

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