再建スポンサーへの応募こそ多かったが、「本気」の企業は限られている。再生機構とダイエーの足並みは乱れたままで処理は新たな段階へ――。「選挙人名簿の作成といったところですよ。お楽しみはこれから」――。ダイエー再建のためのスポンサー企業公募を締め切った十一月八日午後、産業再生機構の幹部は満面の笑みを浮かべた。ダイエーがこだわり続けた自主再建路線をついに押し切って、スーパー、投資銀行、再生ファンドなど約五十社の応札を得たのだから、この幹部が愁眉を開くのも不思議はない。 しかし現実は厳しい。本気でダイエーの店舗を多数取得しようと考えているスポンサーは「五つあるかないか」(有力再生ファンド首脳)だからだ。残りの大半は、応札した企業に提供される、ダイエーの資産査定の概略資料が目当てである。 別の小売業関係者は投資銀行から「御社の名前を事業スポンサーとして貸していただけないでしょうか」と懇願された。投資銀行は事業スポンサーの小売と組んでダイエー解体に腕を振るう存在だ。だから、注目を集めるダイエー再建劇に関わっておかないと「投資銀行にとって(再生ノウハウが無いと見なされ)営業戦略上、問題」(米系投資銀行関係者)という、本旨から外れた思惑も働いているらしい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。