ロシアのラブロフ外相が自国テレビのインタビューで、歯舞、色丹両島の返還をうたう一九五六年の日ソ共同宣言の重視を強調。来春訪日予定のプーチン大統領本人も十一月十五日に「二島返還」での決着の意向を表明したが、そんな中で、中露が長らく未確定だった国境線をほぼ画定したことに、専門家の注目が集まっている。 十月十四日に北京で行なわれた会談で、プーチン大統領と胡錦濤総書記は、中露国境のアムール川(黒竜江)にある三島を分割し国境を画定することで合意した。ロシア側が妥協した形だが、大統領の影響力が強い現在のロシアでは議会の承認も得られる見通しだ。 これを北方四島にあてはめると、国後、歯舞、色丹は日本、択捉はロシアということになる。択捉島は軍事上重要な拠点。近年、原子力潜水艦の航海訓練やパトロールを再開したロシア軍にとって、択捉さえ保有すれば国後との間の潜水艦航路も確保でき、安全保障上の問題はない。 歯舞、色丹の二島返還からロシアが一見譲歩したようにみえるだけに、ロシア側がこの案を提示してきた場合、領土問題解決に色気をみせる小泉首相周辺は迷うことになるかもしれない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。