NECが九月中間期で百九十億円の営業赤字(単独ベース)を計上する見通しを明らかにした。原因は携帯電話の販売不振だ。 IT(情報技術)バブル崩壊後、富士通とセットで不振企業の代表格扱いされてきた同社が“相方”より一足早く立ち直れたのは、国内トップの携帯電話事業が業績を下支えしたため。ところが頼みの綱の携帯が、今度は足を引っ張っている。 有望視している中国の携帯市場では、米モトローラのシェアを飛躍的に高めた中国人幹部を、三億円ともいわれる「高額ヘッドハンティングで引き抜く」(NEC幹部)など攻めの姿勢を強めてきたが、いまだその効果は出ていない。第三世代携帯でも、海外向け携帯電話の半数近くを占める大口取引先である香港財閥のハチソン・ワンポアとのビジネスで、「第三世代携帯がハチソンの言うほど売れていない」(海外携帯電話大手)。両社の関係は最近になってぎくしゃくし始めているようだ。 かつて「産業再生機構行き第一号」とまで見られていた“相方”富士通に株価で抜かれる惨状の中、再びNECの経営不安に焦点が集まり始めている。

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