習近平・中国国家主席の外遊に同行している彭麗媛夫人(50)の評判がすこぶるいい。いままで中国指導者の夫人はどこか地味な印象を持たれることが多かったが、歌手である夫人がそばに立つと、ごついタイプの習氏がぐっと柔らかく感じられるから不思議だ。

中華人民共和国成立以後、国際舞台で初めて脚光を浴びる「第一夫人(ファーストレディ)」ということになるが、周到に考え抜いたファッションには感心させられる。私の見たところ、彭夫人はとにかく頭のてっぺんからつま先まで服装には徹底的にこだわる人のようだ。ロシア外遊で最初に空港に降り立ったときの服装が「ただ者ではない」と思わせるほど出色で、意図するところを読み解くのが面白かった。

まず、ボタンが2列にならんだ大きな襟はかつて民国初期に中山服と共に流行したレーニン服風だ。ロシアの前身であるソ連の歴史への敬意を示したものと考えられる。青いスカーフは、同じ青いスカーフをしていた夫との関係の良さ、そして夫に対する従順さをアピールしている。軍服にも見える紺色のコートは人民解放軍の歌手という自分の出身と、党中央軍事委員会主席である夫の立場にも配慮したものだ。スカート、ストッキング、靴はいずれも保守的な黒でまとめた。黒を着こなす優雅さと気品をアピールしていた。

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