新NHK経営委員長の「重大責任」

執筆者:2004年12月号

長すぎた海老沢体制に終止符を打ち、外部からしかるべき人材を招けるか。新委員長に期待するしかないが……。 平成になって最も大きな被害を与えながら日本列島を北上した台風23号。立て続けに三回も震度六強を記録した新潟県中越地震。十月下旬に発生した二大災害をめぐるテレビ各局の報道合戦で圧勝したのは、相次ぐスキャンダルで「甚大な被害」を受けたNHKだった。十月二十日夜に最高視聴率三〇%をたたき出したのみならず、視聴率ランクの上位を軒並み独占したのである。 総合テレビと教育テレビのふたつのチャンネルをもつNHKは、その強みを抜け目なく利用した。台風23号が関東に接近した二十日には、総合テレビで予定していた国会中継を教育テレビの放送枠に移し、総合テレビでは他番組をとりやめて、ひたすら暴風雨を放映し続けたのだ。NHKのいう「柔軟な番組編成」は、民放各局から「多チャンネルの濫用」という批判の対象になり続けている。 それだけではない。「災害報道の重視」をぶちあげているNHKは、十一月六日夜から七日夜にかけて二十四時間の災害・防災報道特別番組を放送した。編成の現場レベルが判断してボトムアップで編成計画を進めていく民放に対し、NHKではトップダウンで決まることが少なくない。実際、この特番も放送日の一週間前にトップダウンで決まった。ある中堅幹部が明かす。

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