「盤石」はいつまで続くのか (C)時事
「盤石」はいつまで続くのか (C)時事

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加表明や集団安全保障への言及、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場移設に関連する名護市辺野古の海の埋め立て申請……。「決められる政治」を標榜し、タカ派的なイメージの強い安倍晋三首相がいよいよ本領を発揮し始めたかのように見える。だが、見かけの勢いだけをもって、「7月の参院選までは安全運転」という政権運営の方針を転換してスピード運転を始めたとみるのは早計だ。一部の政治決断を除けば、実際には安倍首相は今もきわめて安全な運転を続けている。

 あまり目立たないので一部の人しか指摘していないが、実は安倍内閣の国会運営は不可解に感じられるほどのんびりしている。さぼっているのではないかと思えるほどである。そのひとつの例が3月29日に成立した2013年度暫定予算編成にいたる国会運営である。

 

50日間の暫定予算

 今の通常国会における2013年度予算案(いわゆる本予算案)の審議経過を振り返ってみよう。

 昨年12月に衆院選が実施され、民主党政権から自民党政権に代わった。政治の激変期にあたったことによって、例年と比較して今回の本予算編成は大幅に遅れた。

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