急速に存在感と知名度を高めているモディ氏 (C)時事
急速に存在感と知名度を高めているモディ氏 (C)時事

 政経不可分のインドでは政治が経済の手足を縛るケースが多いため、経済・産業政策を読む上で中国や東南アジアでの経験や勘があまり役に立たず、これが「インド経済」理解の難易度を高める一因となっている。しかも、日本においてはまだまだインドの政治に関する情報が少なく、日本語で紹介される有力政治家はせいぜいマンモハン・シン首相、チダムバラム財務相ぐらいだ。

 そんな中で、スズキのインド子会社マルチ・スズキの進出決定などで脚光を浴びた西部グジャラート州首相(県知事に相当)のナレンドラ・モディ氏 (62)が、インド国内外で急速に存在感と知名度を高めている。即断即決の経済政策遂行で数々の大型外資誘致案件を成功させるなど、インド全体を大きく上回る高成長を記録した。この勢いもあってモディ氏はグジャラートの州与党・インド人民党(BJP)を率いて昨年12月の同州議会選で3連勝を達成。2014年春に予定されている総選挙で10年ぶりの中央政権奪還を目指すBJPの次期首相候補指名をほぼ確実にしている。

 モディ氏は3月末、同党の最高意思決定機関である「中央議会委員会」メンバーにも選出され、党内の基盤も着実に固めつつあり、今インドで最も要注目の政治家と言えるだろう。

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