「金融外交」の舞台で中国の存在感が増している。中国が初参加したワシントンG7(七カ国財務相・中央銀行総裁会議)特別会合の陰で見落とされがちだが、九月三十日から二日間、同地では米中経済共同委員会第十六回議長会合も開かれていた。その主要テーマは、注目を集める人民元為替制度だけではない。中国の米州開発銀行(IDB)加盟問題についても、突っ込んだ協議がなされたのだ。 十月上旬には、米財務省が中国の加盟支持を表明した。一九八〇年代から世界銀行への復帰、アフリカ開銀、アジア開銀などへの加盟を進めてきた中国にとって、中南米を中心に金融支援を実施する米州開銀への参画は積み残された課題。その達成は今や目前に近づいた格好だ。 米州開銀へのアプローチは今年に入って活発さの度合いを増した。資源・エネルギー不足の深刻化から、ブラジルなど南米資源国との関係強化が焦眉の急となったのだ。三月にペルーの首都リマで開催された米州開銀の年次総会には人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が黄菊・副首相の親書を携えて参加。韓国とともに改めて加盟申請を行なった。五月には米州開銀のイグレシアス総裁(ウルグアイ)が北京を訪問し、黄菊氏と会見している。胡錦濤総書記がこの十一月にブラジル、アルゼンチン、チリ、キューバを訪問したのも、こうした流れと無関係ではない。

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