「今年の冬は血を見る」。欧州格安航空最大手、ライアンエアー(アイルランド)のマイケル・オライリー社長はこう宣言する。運賃値下げ競争の激化に加えて、原油高による燃料コストの増加で、経営が破綻する航空会社が欧州で続出するだろう、との予言だ。 ライアンエアー自体は九月中間期で最高益を更新、堅調なところを見せつけている。同社は一九八五年の創業。 だが現在のような形に進化するのは、オライリー氏が経営に加わった九〇年以降のことだ。同氏は米国の格安航空のパイオニア、サウスウエスト航空をモデルに、アイルランドの赤字航空会社だったライアンエアーに大掛かりな手術を断行。徹底した低コスト運営を武器に、驚異的な低価格を実現してみせた。 その徹底的なコスト削減手法は他の航空会社の追随を許さない。まずチケット予約はインターネット経由が一〇〇%近く、旅行代理店などに払う手数料は皆無に等しい。機内食などの無料サービスは一切なし。近く映画などを座席で見られる設備を導入するが、もちろん有料だ。 次々と欧州大陸各国の拠点空港を開拓しているが、それは都市の中心部から離れ、冷戦時代に軍事目的で建設されたような利用者の少ない空港であることが多い。当然、空港使用料は激安。滑走路もすいているため、駐機時間は三十分未満で、航空機の回転率を上げることが可能だ。

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