「楽観は禁物」の北朝鮮ミサイル

執筆者:2013年4月10日

 北朝鮮の脅しは、遂に傍若無人の宣戦布告にまでエスカレートしている。安倍総理大臣は「日本政府として国民の生命と安全を守るために万全を尽くす」とコメントしたが、具体性が無い。有事法制、国民保護法は機能するのであろうか。

 ただ1つ見えていることは、日本に向けて北朝鮮の弾道ミサイルが発射された場合、これを地上配備のPAC3及びイージス艦搭載のSM3で迎撃、破壊するということである。現場が地対空ミサイルを発射するには「破壊措置命令」が必要である。この命令は、自衛隊法第82条によって規定されているが、原則は、自衛隊最高指揮官の総理大臣が、事前の安全保障会議の諮問を経て、閣議によって決定する。勿論、間髪を入れず対処しなければならない場合は「防衛大臣から総理大臣への発令要請」で破壊措置を行なうことが出来る。

 米国の場合も同様であって、軍の武器使用は、平時において権限の委任は行なわれず大統領に一元的命令権がある。ロッキー山脈シャイアンマウンテンの地下に構築されている北米航空宇宙防衛司令部 “North American Aerospace Defense Command(NORAD)” が警戒監視体制に就いている。警戒監視網が彼我不明飛翔体を探知し、米国民・米本土への脅威が切迫して破壊しなければならないとNORAD司令官が判断すれば、大統領へ伺いを立て、大統領命令が届き、目標破壊のため最短距離に配備された迎撃ミサイル発射まで最小4分の時間が必要と言われている。この大統領命令を前提に、発見・識別・通報・伺い・命令・発射・迎撃・破壊のプロセスに要する時間が最小5分であるとすると、対地速度マッハ3(音速の3倍)で目標に向かっている弾道ミサイルを仮定すれば、その間、約300kmの距離を飛翔するわけで、世界最強の軍事力を保有する米国であっても、北米大陸のどこかの都市が被爆炎上することを免れない。

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