欧州連合(EU)の欧州委員長を五年間務めたロマーノ・プロディ氏(六五)=元伊首相=が十一月下旬、バローゾ新委員長体制の発足に伴い退任し、古巣のイタリア政界に復帰した。中道左派連合「オリーブの木」を再構築し、二〇〇六年五月までに実施される伊総選挙で中道右派連合を率いるベルルスコーニ首相(六八)と全面対決する準備を進めている。「我々は単に政府の政策に反対しているのではない。国家の蘇生に着手するのだ。このデモは我が国を取り戻すための統一行動だ」――。十一月三十日、秋雨が煙るイタリアの首都ローマ。五万人が駆け付けた「減税反対集会」に参加したプロディ氏は支持拡大を訴えた。同氏は次期総選挙で野党中道左派連合の首相候補となる見通しだ。 やり玉に挙がったのがベルルスコーニ首相が打ち出した六十五億ユーロ(約八千九百七十億円)の減税案。イタリア労働総同盟(CGIL)など三大労組(総組合員数約千二百万人)は同日、「減税は富裕層を潤すだけだ」などと批判する抗議デモを各地で実施。一方、七十都市以上で最大八時間のゼネストを決行し、全土がマヒ状態に陥った。「プロディ氏が伊政界に復帰して早々、反政府勢力の結束を内外に示す絶好の舞台となった」と野党幹部は胸を張る。

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