経済面での上向きな期待感に支えられて、安倍政権は相変わらず快調だ。アベノミクスの第1の矢(金融緩和)、第2の矢(財政政策)は、これまでのところ成功。今後は、第3の矢(成長戦略)で、中期的な成長軌道に乗せていくことができるかどうかが焦点になる。

 そこで肝心なのは、安倍首相自身が「安倍内閣の1丁目1番地」と唱えている規制改革だ(1月24日規制改革会議にて)。

 成長戦略というと、これまで毎度のように、「健康・医療」「環境・エネルギー」「農業」などが、今後の成長分野として掲げられてきた。これらの分野は、いずれも、「官製市場」とも呼ばれるように、官による規制でがんじがらめに縛られている領域。無用な制約を取り払い、民間が自由度をもって事業活動できるようにすることこそ、最大の成長戦略だ。

 だが、こうした規制は、裏側には規制によって守られる既得権益が伴い、政官業のトライアングルで頑強に維持されている場合が多い。このため、規制改革は、難度の低い形式的なものを除いては、なかなか簡単には進まない。

 これを突破する有効な手法が、「特区」だ。

 特区制度というと、もともとは中国で設けられた一国二制度の区域が有名だが、我が国では2002年に小泉内閣のもとで「構造改革特区制度」が設けられた。特区内限定で規制改革を実験的に行なう仕組みを設け、地域のイニシアティブにより、困難な規制改革の突破口を開こうとしたものだ。

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