ニューズ・コーポレーションが本社を米国に移した。「愛国主義」に訴えて大統領選報道で圧勝したしたたかさに、アメリカが揺さぶられる。[ニューヨーク発]“メディア王”ルパート・マードック氏(七三)率いるメディア複合企業ニューズ・コーポレーションが、誕生の地オーストラリア・アデレードを離れ、米国に本社を構える米企業に生まれ変わった。 新聞一紙から事業を興して買収につぐ買収を重ね、ハリウッドの名門スタジオから米国で四番目のネットワークテレビ局、そしてほぼ世界中の主要衛星テレビを持つまでに急拡大したニューズ・コーポレーションだけに、米国本格上陸の真意が取り沙汰されている。「マードックの次の餌食は誰?」。米『ビジネスウィーク』誌はこんな書き出しで、ニューズが二〇〇四年末にも米主要企業銘柄の集まるS&P500銘柄入りを果たし、代わりに一社がはじき出されるとの記事を掲載した。 もちろん、マードック氏がS&Pから漏れる企業を選ぶわけではない。が、世界中のメディアを手中にし、派手な買収話に事欠かないマードック氏が米本土に上陸することへの、米国側の複雑な心理をよく表している。常に次の一手が注目されるマードック氏ゆえ、米国中の耳目を引き付けずにはいられないのだ。

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