5月25日に行なわれるサッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)の決勝はバイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムントというドイツ強豪同士の対決となった。ドルトムントは、若きスーパースター、MFマリオ・ゲッツェがバイエルンに引き抜かれる(移籍は7月の予定)という衝撃の渦中での試合となり、首脳陣のバイエルンへの敵愾心は沸騰状態にある。片や、バイエルンには、名門チームの育ての親とも言うべきウリ・ヘーネス会長(61)の巨額脱税事件という未曽有の嵐が吹き荒れている。バイエルン経営陣は、CL優勝によって名誉を挽回し、今の難局を「正面突破」しようという心算であり、ドルトムントとの戦いは負けられない一戦になってしまった。

 

総選挙にも影響

 ヘーネス会長の脱税事件は、野党・社会民主党(SPD)や緑の党がメルケル政権の脱税対策を批判するなど、9月の総選挙にも影響を与えかねない大問題となっている。それだけにメルケル首相は疑惑発覚後、ヘーネス会長に「失望させられた」と早々とコメントし、降りかかる火の粉を払うのに躍起となった。サッカー好きのメルケル首相はヘーネス会長と親交があったが、総選挙を控えた怜悧な政治判断としては、会長をばっさり斬り捨てるしかないということだったろう。

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